(2012年3月6日11時33分  スポーツ報知

母親、初公判で殺意否認…大阪・幼児置き去り死亡事件

 大阪市のマンションで2010年夏、幼児2人が置き去りにされ死亡した事件で、殺人の罪に問われた母親の元風俗店従業員・S被告(24)の裁判員裁判の初公判が5日、大阪地裁(西田真基裁判長)で開かれた。

 罪状認否で下村被告は鼻をすすりながら約1分間沈黙し、起訴内容の「死亡すると分かっていた」との部分に「それは違います」と小声で殺意を否認した。茶色く乾燥した遺体写真が証拠として示された時はうつむき、化粧気のない顔にほとんど表情の変化はなかった。

 検察側は冒頭陳述で、S被告が大阪市に住み始めた10年2月ごろには育児を重荷と感じ「もっと自由な時間が欲しい」と思ったと指摘。〈1〉最後に部屋を出た際、冷蔵庫に食事がなかった〈2〉玄関が施錠されていた―などを根拠に「殺意があった」と主張した。弁護側は「死ぬことまでは意識しておらず、保護責任者遺棄致死罪にとどまる」と反論。幼いころの両親の離婚や中学時代に性的暴行を受けるなど成育環境が事件の背景にあると述べた。

 起訴状によると、S被告は10年6月9日ごろ、必要な食事を与えなければ死亡すると分かっていながら、同市西区の自宅マンションに当時3歳の長女・桜子ちゃんと同1歳の長男・楓君を置いて外出。帰宅せず、同月下旬までに餓死させ殺害したとされる。16日に判決が言い渡される予定。

高校ラグビー界名将 S被告の実父が証言・・・大阪2幼児置き去り死事件

 2010年6月に大阪市のマンションで幼児2人が置き去りにされ死亡した事件の裁判員裁判は8日、大阪地裁(西田真基裁判長)で開かれ、殺人罪に問われた母親・S被告(24)の実父(51)が証人として出廷し、S被告の悲惨な生い立ちを語った。

 高校ラグビー界の名監督としても知られ、11年度の全国大会でも勝利に導いた実父は証人尋問で、S被告が5歳ぐらいだった時の衝撃的な出来事を告白した。当時からチームを率いており、合宿から帰宅すると「知らない男が布団の中にいた」。S被告は自身の浮気が原因で夫と離婚したが、実母も同様だったという。


 その後、S被告の実母は長女のS被告ら3姉妹を連れて家出し、別居。午前2時ごろにS被告から実母がいつもいないと電話があったことも。別居当時、S被告が暮らしていた住居は、室内飼育の犬の汚物の臭いがきつく、子供らの服は汚く髪の毛もベトベト。実父は「(当時のS被告は亡くなった孫の)桜子や楓と同じ無表情でした」と振り返った。

 実父は離婚して3人を引き取ることにしたが、つらい状況は続いた。S被告が小学3年当時に再婚した相手には連れ子がいたが「運動靴を買ってもナイキと(3姉妹は)ワゴンセールで売ってるような靴。Tシャツもディズニーキャラクターのものと安いシャツ」。差別的に扱われ、実父はのちに離婚した。証言の間、S被告は何度も涙を拭っていた。

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