【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.ルーレット台紙1
2.ルーレット台紙2


【ねらい】 自己開示
 班の中でひとり一人の発想で描くことにより、それぞれの個性が描かれるのだが、先に描いた人の意図を想像しながらつないでいこうという気持ちが、ひとつの作品を完成させる。一方、今回のトーキングでは、ルーレットを回すことで班でひとつの話題が決まる。同じ話題についてのトーキングなので、話の中に現れる共通点や違いを、各々がうなずいて聴き入れやすい状況が生まれる。共感性を育てることに重点を置いたウォーミングアップとエクササイズである。


【概要】
 班で一枚の画用紙を使い、一人ずつ順番に絵を描き込むことによって一つの絵を完成させる。思い思いの絵を描き込んでいくので、予想外の楽しい絵が完成するが、前の人からバトンを引き継いで作成することに意味がある。前の人のイメージを想像するということは、トーキングにも引き継がれ、ルーレットを回して決まったお題について、ひとり一人が語っていく。「へー、そうなの。」「うん、わかるわかる。」というトーキングチェーンを形成していく。

【ポイント】
 『すごろくトーキング』のように多様な話題から深化させていくのではなく、ルーレットによって一つに絞り込んだ話題から、拡げたり深めたりするトーキングである。うなずいたり、訊きかえしたりするコミュニケーションにおけるスキルトレーニングとしての要素も含んでいる。


【子どもの気づき】
・班のみんなで羊を描いて、一人一人違うけど良い感じに一つのものが描けた。
・人によって描きたいと思うものが違うので、自分にない発想も出てきて驚いた。
・人のいろいろな一面が見えたのが良かったです。自分ももう少し成長したいです。絵をまた描きたい。
・なかなか普段の生活では相手の話をじっくり聞くということを意識していないので、受け流しているところがあるなと思いました。じっくり話を聞くことは大切だと思いました。
・しっかり伝わるように話すことや、話す人を見て聞くことが大切だと思った。
・答えるのが大変だったときもあったけど、自分で自分のことを話すのは大事なことだなぁと思った。これからも恥ずかしがらずに話をしていこうと思います。


【教員からのコメント】
・子どもたちはトーキングの授業が大好きなのですが、特に今回のルーレット・トーキングでは、突っ込んだ話ができたようで、よい雰囲気で終われました。友達が相づちをうって自分の方を見ながら聞いてくれると安心して話せるという実感ができた生徒が多かったようです。班でこのようなトーキングをすることが学級全体の雰囲気にもよい影響を及ぼしていけば嬉しく思います。


中学校2学年第5時「ルーレット・トーキング」 自己開示 (Wordバージョン)

 この24時間の支援プラン集は松原市立第七中学校のプログラムをベースにして、松江市立第一中学校を中心にしたコーディネーション校での実践をもとにつくられています。松原第七中学校での2009年実施3年間60時間のプログラムから厳選した24時間のプログラムなのです。わたくしは、2011年から授業コーディネーションを進めていますが、2009年のプログラムから現在のものを比べると、大きくなかみが変わっています。授業の項目自体は、さほど変わりはないのですが、授業のスタイルを「指導案」という教員の指導内容を強調したものを、「支援プラン」という子どもの活動を促進し、気づきを引き起こすスタイルを強調したものに移行しています。当時の予定調和的なスタイルを極力排除し、「ワークショップ・ファシリテーション型」のスタイルにより近づけているということです。教員が教え込むのではなく、子どもの力を引き出していくということを最大の目標としているのです。この変更は、わたくし自身が先生方の前にファシリテータとして登場するという経験を積み重ねていくことで、自然と促進されていきました。そうすると、先生方の創意工夫というものがプログラムを実施する時点で発揮されてきます。プログラムの充実はこのプロセスの中で実現されていきます。
 「ルーレット・トーキング」の授業も同様です。今は、特にスキルとしての共感性を特に育てるという位置づけにしていますが、かつては、「すごろくトーキング」のように、一人ずつルーレットを回してトーキングをしていました。ところが、松江市立第一中学校で実施された支援プランを見ると、一人がまわしたルーレットのお題について、グループ全員が語っていく、という方法をとっているのを発見しました。わたくしは、感覚的に「すごい」と感じたわけです。一人がしゃべるのか、全員がしゃべるのか、というたわいのない変化なのですが、一つの話題について全員がしゃべるということは、共感性を育てるスキルを大幅にアップさせることができます。全員の関心のベクトルがひとつの話題に向かうわけですから、頷いたり、受けとめたり、対峙したりする、という機会が増えます。「最後まで聴く」というアサーションにおける重要なスキルも育てることができます。まさに「コロンブスの卵」ですね。
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