【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.4つのマトリクスワークシート

【ねらい】 自己管理
 日々、わたしたちは「緊急かつ重要なこと」に追われている。これは、大人であっても子どもであってもあまり変わりない。普通、これらのことを無事にこなしていくために、計画表や日程表を活用することが一般的である。しかし、このプロセスにおいては、「人間の成長」という観点が抜け落ちてしまうのである。「重要であるが緊急でない」事柄をいかに生活の中に組み込んでいくかということが重要なのであるということに気づいていく。


【概要】
 この1週間、自分がしたことを思い出し10個記録する。そして、その行動を「緊急、重要(第一領域)」「緊急でない、重要(第二領域)」「緊急、重要でない(第三領域)」「緊急でない、重要でない(第四領域)」に振り分けていく。それをグループでシェアすることにより自分の行動を振り返る。次に、「重要であるが緊急でない」行動が自分にとってどんな意味を持つのかを考えることで、「人間の成長」に必要なものについて気づいていく授業である。

【ポイント】
 この授業は、まず、自分自身が目標(短期的・中期的・長期的)を持っているかどうかが問われる。第2領域の行動がいかに多いか、ということが人間の成長に大きく関わってくる。そのためには、自分自身の行動が4つのマトリクスの中の、どの部分に入っているのかという自分自身のあり様に気づくことから始まる。その結果、目標をしっかりと持ち、自分の時間をどのように使っていけばいいのかということに気づいていく。


【子どもの気づき】
・今までどれが重要とか考えたことがなくて改めて考えるとふだん日常生活でやっていることが重要であったことがわかってよかった。
・自分は第4領域の数が少なかったので、あんまり無駄な時間をすごしていないのだなと思った。
・いちばん重要でない第4領域が多くて時間の使い方がもったいないと思った。
・自分が毎日何をして、それが何かにつながるとか無駄なこととかが改めてわかった。
・将来のこととか、進路のこととか第2領域につながることを増やしたいと思った。

【教員からのコメント】
・教員のロールプレイングで、生徒の目線にあったものを挙げたせいか、スムーズに活動に入っていけました。自分のマトリクスと友達のマトリクスを見比べることで、人それぞれで物事のとらえ方が違うということに気づきやすい展開でした。また、自分の日々の行動が自分にとってどんな意味があるのか考えたり、生活を見直したりするきっかけづくりになったようです。教員自身も第1領域(緊急で、重要な)に偏ってしまっていることに気づいて、愕然となってしまったほどです。4つのマトリクスは目的をもって生活していくのに必要なツールだと感じました。

【エピソード】
 コーディネーションも上級になってくると、模擬授業のクオリティーもずいぶん高くなってきます。小学校でも中学校でも三回目、四回目くらいの模擬授業では、先生方自身にとってのセミナー的なものになってきます。「4つのマトリクス」は、先生方が主体的にものごとに取り組めているかどうかをさらけだしてくれるのです。究極の自己開示といってもいいかもしれません。書いていただいた「4つのマトリクスシート」をシェアすると、あちらこちらから気づきのつぶやきが聞こえてきます。
 たとえば、「趣味」に関する行動は、ふつう第2領域に入ってくるのですが、第4領域に入れる方が出てきます。よく話をお聴きすると、「趣味に関する行動は、第2領域に入れるべきではない。」という固定観念にとらわれているケースが多いのです。自分が楽しんで取り組んでいることを「重要でない」としてしまう、一種の自己否定かもしれませんね。そんなことに気づいていくのです。
(小学校の研修でも先生方の成長のために「4つのマトリクス」をします。出雲市立北陽小学校にて)

中学校3学年第4時「自分の成長時間」 自己管理 (Wordバージョン)

 「4つのマトリクス」は、正方形を4分割したワークシートに、横軸を「緊急」「緊急でない」、縦軸を「重要」「重要でない」とわけます。すると、左上の四角は「重要&緊急」(第1領域)、右上は「重要&緊急でない」(第2領域)、左下は「緊急&重要でない」(第3領域)、右下は「緊急でない&重要でない」(第4領域)とします。平日、休日もふくめた日常生活の中での行動を10個以上あげます。ただし、トイレに行った、食事をとった、などの生理現象は省きます。そして、あげた10個以上の行動をこの4つの四角(マトリクス)に分けていくのです。すると、どうでしょう。その人の行動のあり様というものが浮かび上がってきます。すべての行動が第1領域に入っている人は、自転車操業をしている人です。息をつく暇がありません。第3領域に多くの行動が入っている人は、自分の意志に沿わないことを強いられている人です。大人であれば鬱が心配されます。第4領域が多い人は目的をもった生き方が出来ていない人です。そして、第2領域こそが、「重要であり」「緊急でない」こと、つまり意味や目的を込めた行動であるということです。学生さんや働いている人であれば、第1領域と第2領域の割合が8:2くらいが理想的でしょうか。第3領域、第4領域は少なければ少ないほど好ましい状態であるといえます。これらはすべて、本人の感じ方なので、同じ行動であっても入る領域が違ってきます。「〜することは、〜領域である。」という固定観念はなじみません。書き込んだワークシートと振り分けて感じたことをシェアリングすれば、多くの気づきが生まれてきます。「マトリクス」とは元来「生み出すもの」という意味があるのです。たしかに、様々な学びを生み出してくれます。
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