【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.ワークシート

【ねらい】 境界設定
 侵害と被侵害は表裏になっていることに気づく。また、自分の侵害行為に気づくとともに、侵害されたときのアサーティブなあり様の返し方を学ぶ。


【概要】
 前時から続く2時間続きの授業の後半である。アンケート結果から、侵害と被侵害は表裏になっていることを知り、自分が侵害しているつもりはなくても、相手によっては侵害されていると感じることがあることに気づく。「それって侵害!」では、前時の「気分に巻き込まれるパターン」と「干渉パターン」のロールプレイングから、境界を侵害されたときどうしたら良いか、アサーティブなあり様で返す台本を生徒が考える。

【ポイント】
 これまでに学んできたアサーションを使って台詞を考えることで、スキルアップを図る活動である。侵害されたと感じたときに、どのように対応すると良いかをアサーティブなあり様で解決する方法を一人で考え、その後、班での話し合いによってアサーティブなあり様をより深めていく。最も肝心なことは、教員自身がアサーティブな返し方ができるかどうかである。このような場合、「どうしたのですか? すごくイライラしてますね。何かありました?」「ごめん、お母さん。心配なのはわかるけど、僕が選んだ友だちなんだから、信用してほしいなぁ。」と返すことができる人間力を教員が備えたいものです。


【子どもの気づき】
・イライラしている相手に自分の気持ちを伝えるのは難しいと思った。
・アサーティブに対応することで、気持ちよく終われると思った。
・みんな、相手の気持ちも考えてセリフを考えていたから、普段でもそういうことができたらいいなと思った。
・前で発表している人が堂々としていてすごかった。ロールプレイで人の対応が聞けて楽しかった。気づかないうちに人の境界に入っているかもしれないから気をつけたい。


【教員からのコメント】
・これまでに学んだアサーティブな対応を意識してロールプレイングを考えており、「そんなふうに怒っていたらわたしも傷つくんだよ」と相手に自分の気持ちを伝えた生徒もいました。子どもたちは、相手と自分の気持ちを考え、しっかり思考しながら活動していました。生徒がロールプレイングで発表することで、様々な解決の仕方を共有することができていたと思います。


【参考】
 「境界設定」を考える上で、理解をすすめてくれる書籍を二冊ご紹介いたします。「侵入・侵害」から起こる悲しい出来事、そしてそれを乗り越えていくためのアサーティブネスのことがよく理解できます。

 「ハッピーバースデイ 命かがやく瞬間(とき)」 青木和雄 フォア文庫 

 作者の青木和雄さんが、教育カウンセラーとしての経験から著した小説です。夫のモラハラを受けている「あすか」の母・静代は、「あすか」を虐待してしまいます。このストレス反応のために声が出なくなったあすかは、祖父母とともに暮らしはじめます。祖父母とともに自然のさまざまな生きものにふれあうことで、あすかは自分自身を取りもどします。そして、母・静代の生育歴にも気づいていくのです。家にもどったあすかは、友だちとの関わりを通じて、人間どうしの信頼関係を気づいていきます。そして、生まれてはじめて、あすかはバースデイを祝ってもらうのですが、このシーンは、わたし自身、涙、涙でした。あすかが主人公なのですが、わたしは母・静代が実質の主人公であるように感じました。依存的な姿から、主体的になろうとしていく姿からは、学ぶことが多いのではないでしょうか。


 ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話」
        ああちゃん、さやか(ビリギャル) KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 映画化もされた「ビリギャル」ですが、母「あーちゃん」は、彼女自身ダメ母だったとふりかえっています。厳しい母親に育てられた「あーちゃん」が自分自身を取りもどすプロセスの真ん中には「さやか」がいました。モラハラ夫と子どもたちとの生活は、家庭崩壊寸前のガタガタな状態でした。「あーちゃんは、あすかを信じる。」 これを貫き徹すことで、偏差値30のあすかは、偏差値70超の慶應義塾大学総合政策学部に合格することができました。そして、家族の絆をとりもどします。「あーちゃん」自身が、自ら勉強してきたことも紹介しながら、さやかの成長を記した子育ての良書です。

 ついでに・・
 学校の先生の立場では、あすかの慶応大学合格を支援した塾の坪田先生の書籍をお薦めします。今や、教育は「指導」ではなく「支援」の時代。「指導」されて育った今の学校の先生が「支援」と言われても、ウロウロするしかないのですが、時代は待ってくれません。アクティブラーニングのあり様にも大きく関係している実践録といってもいいでしょう。

 「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」
        坪田信貴 [文庫特別版] (角川文庫)



「それって侵害!」 境界設定

 みなさんは、誰かに頼み事をしたときに、不機嫌な顔をされたり、頼み事をした人が、あなたへのあてつけのように、ものにあたったりイライラしたり、という場面に遭遇したことはありませんか。そんなとき、「自分の頼み方がわるかったのかなぁ。」とか「頼まなければよかった。」という自責の念や後悔する気持ちになってしまいます。多くの場合、頼み事をしたほうが気分を害して終わってしまいます。実は、これ、立派な「侵入・侵害」なのです。多くの場合、不機嫌な顔をしたり、イライラをあからさまに表現する人は、力関係をしっかりと見ています。あなたにだったら、「そのような反応をしても大丈夫」という判断を無意識のうちにしてしまっているのですね。あなたに対する一種の「攻撃」であると見ていいでしょう。こんなとき、「その態度なに?!」と攻撃的に返してしまうと、そういう行動は止むかもしれませんが、信頼関係を築くことはできませんし、そもそも、そういう反応ができれば、相手はそんな態度をしてきません。「すみません。わたし何か都合の悪いこと頼みましたか?」「お忙しいのにごめんなさいね。」「イライラしてますね。何か嫌なことありましたか?」と返すことができれば、「うん、昨日嫌なことがあってね・・」と会話が続くかもしれませんし、相手はイライラしてしまった自分に気づき、反省の弁を述べてくれるかもしれません。実は、これはアサーションになるのですが、防御的主張ととらえることができます。自分自身を守るために訊いて聴くのです。「わたしはわたし自身を大事にしていますよ。」というメッセージであると同時に、「あなたのことも大切にしていますよ。」ということも伝えているのです。このような信頼関係を築くコミュニケーションは、大人の世界では仕事上、あるいは社会生活、家庭生活上、きわめて必要なことです。成長著しい中学生や高校生にとってとても大切なツールであるといえます。
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