追加プログラム1 「こんなときどうした?」 自己開示 (Wordバージョン)

 わたしが教員になってまだ若手だった頃の1985年。一年生の宿泊の取組がありました。一泊だけの取組でしたが、わたしは学年主任の先生に頼み込んで、子どもたちが自分たちだけで就寝前に自分のことを出し合う話し合いをさせてもらいました。その中で厳しい環境でがんばっている子の話に、まわりは涙しました。以後、わたしはこの話し合いを「クラスミーティング」と名づけ、宿泊の取組ごとに学年で「自分の課題を出し合う場」として続けてきました。自分の課題を語ると、自然とがんばっている子に焦点があたります。ひとり親家庭の子、自分や家族に障がいなどがある子、外国にルーツのある子などが自分自身のことを語ると、支えようとする仲間がそこに集まり、いいかげんに考えていた子どももきりっとするのです。

 松原第七中学校でもHR合宿、スキー合宿(現在は廃止)、修学旅行などの宿泊をともなう取組においてはクラスミーティングに取り組んでいました。その事前に行ったプログラムがこの「こんなときどうした?」なのです。自己開示を共有することは、人と人との関係性に安心と信頼を構築します。最後まで話を聴く大切さが理解できると、相手を否定したり、さえぎったりする攻撃的なコミュニケーションを打ち消してくれるのです。

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*写真の画質を極端に落としています。

【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.困難カード  2.ワークシート 3.ルールフリップ
4.モデリング用困難カード

【ねらい】 自己開示
 すごろくトーキングなどの自己開示に関する授業の発展編である。日々起こっている困難に対して「どうしてきたのか」「どう解決してきたか」などということをふりかえり、シェアしていく。ピンチの時の対処法・対処力を共有することで、さらに信頼関係をさらに深めるだけではなく人間力を育成していく。

【概要】
 教員のモデリングからスタートする。教員として何か困難やピンチに遭遇したとき「どうした」か。モデリング用の大きな困難カードをひいて、それに答えてみせる。子どもたちは班ごとに困難カード(困難1〜6)のお題に一人ずつ答えていくのであるが、困難1〜6へ進んでいくにつれて困難の度合いは増してくるのである。しかも後半の困難は人間関係に関わるものなので、だんだんと答えづらくなってくる。しかし、このハードルを乗り越えていけば新しいさらに深まった人間関係が待っている。もちろん言いたくないお題には「そんな経験はありません。」と答えることができる。ウォーミングアップは、自分の好きな色とその色がもつイメージを語る。それまでの授業をふまえ、本時につなぐためのソフトな自己開示である。

【ポイント】
 自己開示の発展編なので、自己開示の経験が不十分な関係性であれば「そんな経験はありません。」という回答が連発してしまう。安心と信頼が保障された関係性のなかで、より授業の効果が発揮されると言えるだろう。大きな取組の事前や、二学期以降の関係性が成熟してきた状況で実施することが望ましい。


【子どもの気づき】
・みんなの解決法を聞いて「そうしたらいいや〜」とか思った。
・みんなの性格や個性があった。 ・みんなの解決方法がおもしろかった。
・自分と同じ意見もあったけど、意外な意見もあってびっくりした。
・意外に自分で色々なこと解決してたんや〜って思った。
・今までの自分の解決法って間違ってたかもって思った。


【教員からのコメント】
 友だちどうしで友情が深まってくると、相談事とかできるようになってくると思うのですが、プログラムのひとつとしてこのような自己開示ができるとは思いもよりませんでした。「こんなときどうした?」という解決法以上に、「そういうことあるよねぇ。」という共感がひろがり、身を乗り出して聴いている子どももいました。もう少し訊きたくなるような話題もあったようです。すごろくトーキングなどの自己開示の発展としては大成功でした。